2013年3月19日
ーウエスト症候群と診断されるまであと約1か月ー
この日は朝から脳波検査がありました。
いつもは検査室で眠った状態の脳波を撮りますが、この日は病室で、起きている状態の脳波を撮りました。
はしゃぐももぞう。あの…検査中なのでお静かにお願いします…。S先生がちょこちょこと様子を見に来てくれます。
ここぞとばかりに根ほり葉ほり『てんかん』について質問するmomomama。
実は入院して以来、ネットでてんかんの事を調べまくってました。
中でも怖かったのが『点頭てんかん』。
小児の難治てんかんには色々なものがありましたが、殆どが年齢依存で、起こす年齢がある程度決まっていました。
その中でも、ももぞうの月齢で当てはまるのが『点頭てんかん』でした。
年齢依存性てんかん性脳症 とは新生児期から幼児期にかけて、年齢依存性で特徴的なてんかん発作で発症し、特異的な脳波所見があり、難治性であり、知能・運動・情緒 に関する発達障害を併発する疾患群のこと。
代表的な疾患として、大田原症候群、早期ミオクロニー脳症、ウエスト症候群(点頭てんかん)、レンノックス・ガ ストー症候群などがある。
発症数は約500人/年 推定患者数は約2万人
脳形成障害や代謝異常症などの1次性脳損傷と、低酸素性虚血性脳症,外傷性または感染性脳損傷などの2次性脳損傷が原因の症候性てんかんが全体の約7割を占める。
残り約3割の非症候性例においては、ARX、STXBP1、CDKL5、SLC25A22など、近年原因遺伝子が同定されてきている が、多くは原因不明である。
※ウエスト症候群(点頭てんかん)については
こちらのページをどうぞ
この日、脳波画面を見つめるS先生に
『点頭てんかんっていうやつじゃないですよね?』
と尋ねたら、
『違うね。点頭てんかんは独特の発作だからすぐわかるよ』
と言われ、ホッとしたのを覚えています。
話を聞けば、S先生は以前に大きな病院の“小児神経内科”で、難治てんかんなどの小児の脳に関する病気を専門に診ていらしたそうです。
ど、通りで…(゜Д゜;)(『S先生特別診察』の謎が明らかに)
その他にも、『てんかん』は酷いと発作で亡くなる子もいるという話や、もしこのまま悪化して最悪のパターンを辿るとどうなるか等を聞きました。
『あまりに悪くなって脳が負けてしまうと、生命維持の場所までやられてしまって、自発呼吸ができなくなって気管切開で人工呼吸器をつけたり、痙攣が何をしても治まらなくなってしまったら麻酔をかけてICU管理になる事もあるよ』
…という話を聞いた時は、背筋が凍りました(←自分で訊いたくせに)。
でもS先生の
『まあ、今この子の病状はそこまでの状態を想定するようなものではないよ』
という言葉に、何とか胸を撫で下ろしました。
(でもね。後述しますが、この日のうちに『S先生からあの話を聞いておいてよかった』と思える出来事があります)
そんな話をしつつ脳波を撮っていましたが、僅か3時間足らずの間に、ももぞうはチアノーゼ発作を3回も起こしました。
発作の度に看護師さんが飛んできて、酸素マスクを当て、気道確保をし、大きな声を掛けながら回復を促していました。
※
通常、てんかん発作を起こした患者さんには大声で呼びかけたりしてはいけません。気道確保をして、発作が治まるまで静かに様子を観察します。ももぞうは呼吸が回復しないと最悪の場合心肺停止の危険性があったので、意識回復を促すための措置として行っていました。
ももぞうの発作が頻回なので、看護師さんから対処法のレクチャーを受けました。
気道確保やら酸素ボンベの扱いやら…、ほんの1か月前までミルクの銘柄やももぞうの向き癖の事で頭を悩ませていたmomomamaには、全てが非現実的なものでした。
S先生の前でもチアノーゼ発作を起こしたももぞう。
慌ててナースコールを押すmomomama。
鳴り響くセンサーの音。
バタバタ走る看護師さん達と、未だに慣れず狼狽えるmomomama。
脳波画面とももぞうの様子を見ながら、『ああ、これは間違いなくてんかん発作だねぇ』と冷静に仰る先生。
そして、そのまま脳波画面を見ていた先生から、突然衝撃的な事を言われました。
『お母さん。この子ね・・・、チアノーゼを起こしている時以外でも、目に見えない発作が脳波上で乱発してるんだよ』 。 。 \\……エェ━━━━━━( Д ; )━━━━━━━━━━━━!!!?!!(オカン目玉飛び出して完全に行方不明状態)
…ええええええええええ??!!何それ…?
見た目はいつもと変わりないのに、『発作』?????
てか、そんな話聞いてないんですけどーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
何それどういう事?!ももぞうはどうなっちゃうのーーーーーーーーーーーーー?!!!
半狂乱になりそうなのを抑えて、何とか話を聞くmomomama。。
先生は分かりやすくするために上記のような表現をしてくださいましたが、要は
発作が起きていないように見える時でも、脳波上では異常波(てんかん波)が出ていることがある、という事でした。
脳波の画面を見つめる先生に、
『あ、今ちょうど脳波乱れてるよ』
と言われた時も、ももぞうはいつも通りの様子でした。
そして更に驚く事を言われます。
『実はね。てんかんで、ここまで薬に反応しないのは珍しいんだよ。普通は薬を飲めば発作はピタッと治まる。ここまで頻回に発作が起きて、しかも薬に反応しないとなると、今の時点で『難治てんかん』と言えるかもしれないね』momomama、頭の中まっしろ。
『そうですか…』としか言えませんでした。
先生は更に続けます。
『それでね。実は今までの脳波も、僕が前に勤めてた病院の、脳神経の専門の先生たちに見て貰ってたんだけどね。ちょっと良くない兆候があるし、薬にも反応が悪いから、良かったら早めに設備の整った大きい病院に移って、一度専門の先生たちに見て貰った方が良いんじゃないかって話になったんだけど、どう?』
momomama『お、大きい病院てどこですか?』
S先生『うーん。○○病院か、O市立総合医療センターかなあ。僕が前にいたのは医療センターだよ。空きがあるかはまだ確認してないから、どこに転院になるかはまだ分からないけど、どうする?』
何でも、知識面ではS先生でも問題ないけれど(専門医なんだから当然ですが)、やはり専門的に脳の病気を扱う科がある病院だと設備(機材)が全然違う、との事。
もちろん、転院の手配をお願いしました。
そしてこの後、O市立総合医療センターから『今日なら受け入れOK』との回答が来て、ももぞうが転院する事が正式に決まりました。
急な事に驚いている暇もなく、パパに電話をしたり部屋を片づけたり精算に行ったりとバタバタ走り回り、午後には救急車に乗って医療センターへ転院しました。